微かなハロー

気ままに | 内向的に | 湿り気のある日記

盲目の野良猫

今住んでいるところに野良猫が寄り付くようになってだいぶ経つ。私は無責任に餌付けをしたくないので関わらないようにしているが、他の住人や近所で働く人たちはなんのためらいも無く餌を与え続けている。猫って本当図々しくて、餌をもらえるとわかるとドアの目の前で座って待っていたり足にすり寄ってきたり、まあ確かに可愛いのだが、動物園の動物を見るような悲しさも感じてしまう。ほんとは野性で生きてたはずなのに、飼いならされちまって…みたいな。

それはさて置き、マックス時は8匹近くいた猫たちも子猫がもらわれていったりして近頃はあまり見かけなくなった。しかし一匹だけ目が悪い子がおり、その子はもらわれずに今も野良として生きている。

ある夜、扉を開けた音と足音を聞きつけて「餌を貰える」と勘違いしたのか、その猫が駆け寄ってきた。この子は視覚以外のもので世界を知覚しているんだ。『極北の動物誌』を読んでいて、動物の中でも視覚を頼りにするものと触覚を頼りにするものがいることに、改めて面白いなと思っていたところだった。どうしても視覚を頼りに生活している自分としては(絵を描いたりもするし)、その猫のようにちょこんととんがった耳や、せわしなく動かせるヒゲのようなもので世界を捉えられるのはちょっと羨ましい。