微かなハロー

気ままに | 内向的に | 湿り気のある日記

旅慣れ

ここ2年くらいだろうか、一ヶ月に一度くらいのペースで遠出をすることが多くなった。バイトだったり観光メインの純粋な旅行だったり友人に会いに行ったりと目的は色々だが、なかなかの頻度だと思う。そうするとどんどん旅に慣れてしまうのだな。荷造りなんて、小さい頃は何よりも楽しみで(下手したら旅行本編よりもわくわくした)何日も前からすこしずつすこしずつやっていたのに、今や前日の夜中から旅立つ日の朝方に重い腰をあげてこなすようになってきた。夜行バスも新幹線も飛行機も乗り慣れた。

旅に慣れる、といっても、決してネガティブな意味合いではない。その先で出会うことの鮮度が落ちることはなく、毎回毎回感動し動揺し衝撃を受ける。むしろ興味や知識の幅が広がったことにより出会えるものが増えたと思う。たいした量じゃないが自由に使えるお金も増えて、見かけた屋台にふらっと立ち寄って店のおじさんと少しだけ話し、焼き鳥二、三本を買い夕飯を済ます、なんてことだってできる。旅に慣れるということは、未知のものと自分が接するのに慣れたということなのだろう。

旅行中は常に自分で行動を選択しなければならない。持ち物、服装、行く場所と食べるもの。限られた持ち物、時間の中で自分で組み立てていく数日間は、ある種の緊張感の中にいるわけで、だからこそ小さなことでも吸収できたりかけがえのない思い出になったりする。それが非日常というものなのかもしれない。でも本来、日常生活だってそうあるべきなんじゃないのかな。本当は毎日見ている景色が明日も見られるとは限らないのだ。だから日々、旅するように感覚を研ぎすませて過ごしたい。旅に慣れたら次は、日常に旅を持ち込めるようになれたらいいな、と思った。